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草人木書苑 茶道美術 釜
監修 千宗室 裏千家 家元 顧問 千宗左 表千家 家元 千宗守 武者小路千家 家元 藪内紹智 藪内流 家元 小堀宗慶 遠州茶道 宗家 遠州流 山田宗偏 宗偏流 家元 淡交社 1982年 初版 金箔押し布張り上製本 作品写真図版カラー・モノクロ 解説写真図版モノクロ 30.5x21.6x2.5cm 213ページ 定価記載なし
※絶版
日本の茶道六大流派の各家元・宗家が監修した、 国宝・重要文化財、名物はじめ、茶道美術の正真正銘・本物中の本物・ 最高峰の茶道具ばかりを集めたフルカラー写真図録本全集「草人木書苑」のうちの一冊。
本書は 釜 (茶湯釜・茶の湯釜)。 大きめのカラー・モノクロ写真図版50点に加えて、解説にも主なものには箱書や他の角度からの写真などを掲載。 箱書きなど付属物、伝来、寸法、古文書などの所載、道具の見どころや由緒など詳細に解説したもの。 参考文献、古文書釈文、解説、系譜なども収載。 内容充実の、茶道・骨董品・茶道具・日本美術・東洋美術など愛好家必携、大変貴重な資料本です。
【刊行のことば 千宗室】全集全体の序文 日本の茶道は、その成立の初期から今日まで、綜合的な文化体系として、日本人の生活文化の基調としての役目をはたしつづけている。 日本人固有の審美的な美意識から、茶室・茶庭といった建築空間の構成、各種道具の生活工芸としての造型、点前作法に見る坐作進退の姿勢、懐石を中心とした飲食の意匠性まで、日本人の生活基盤のなかに、ふかく根ざして、伝統的なくらしとなって生きているのである。 ところで、この茶道の真髄を把握するためには、どうしても通らなければならない関門のあることを忘れてはならない。それは、茶道を構成する道具に対する知識と鑑賞眼の琢磨である。実は、茶道の極意は、この第一の関門を初歩としながらも、これを究極とするとも言われるものである。
目利ニテ茶湯モ上手、数奇ノ師匠ヲシテ世ヲ渡ル(茶湯者卜云、一物モ不持、胸ノ覚悟一、作分一、手柄一、此三箇条ノ調タルヲ侘数奇卜云々 唐物所持、目利モ茶湯モ上手、此三箇モ調ヒ、一道二志深キハ名人卜云也
と『山上宗二記』にあるように、茶道具の鑑賞が、古来、如何に重視されていたかがわかる。だから、今日の茶道を、文化遺産として考えるとき、精神文化さえもが、道具を中心とした造型遺産に内包されると考えてもよいのである。 このたび『茶道美術全集』の刊行を企図した。それは、茶道の造型遺産をとおして、茶道の美の真実を体系化することにある。 幸いにして、多くの読者諸賢とともに、美の宝庫の中に遊ぶよろこびをわかちあい、明日への茶道人の歩みの資たらしめんとねがうのである。
【原色・単色図版】 芦屋 野馬 五匹駒 芦屋 春日野 芦屋 霰花筏 芦屋 高砂 芦屋 千鳥小丸 芦屋 松竹鶴亀文 芦屋 竹生島 芦屋 濡烏 芦屋 住吉 芦屋 常楽我浄文字入 芦屋 雪笹 芦屋 園城寺霰 芦屋 梅花文 芦屋 松梅文霰重文 芦屋 宮島 芦屋 油屋 芦屋 大講堂 芦屋 四方 芦屋 平蜘蛛 芦屋 浜松地文 芦屋 香炉 芦屋 糸目 芦屋 亀甲文 芦屋 牡丹獅子文 芦屋 末の松山 重要文化財 天命 責紐 天命 望月 天命 残月 天命 砕銭 天命 小姫 天命 姥口 天命 梶 天命 粒桐 天命 鍋 天命 霰乙御前 天命 常張亀甲文 天命 提灯 天命 唐犬香炉 天命 三足 天命 筋 桜川 道仁 九輪 道仁 東陽坊 与次郎 小尻張 与次郎 国師 与次郎 霰百会丸 与次郎 阿弥陀堂 与次郎 竜宝山 与次郎 尾上 大西定林 安楽庵 名越弥右衛門(三昌)
釜の形 図解 総説 蔵田蔵 参考文献 『名物釜所持名寄』西村道治著、『名物釜記』閑市庵一常著、『松屋名物集』、『玩貨名物記』、『古今名物類聚(釜)』、『新撰釜師系譜』東京鋳金会蔵版 大正三年十二月発行より、掲載釜・釜師系譜図など紹介 釜師系譜 図版解説 蔵田蔵・中野政樹
【総説より 一部紹介】 茶の湯釜が茶の湯の席において重要な役目を果していることは周知のことである。しかし茶碗その他の茶の湯の道具にくらべて、製作の問題・名所等でも、なかなかわかり難いところがある。たとえば茶碗であれば、どこまでも茶碗そのもので、その形姿、釉薬、焼きぐあいが中心に語られるのであるが、茶の湯釜においては、主体の釜だけでなく、鐶付、鐶、蓋、釜に関連のある釣鎖、風炉等の付属のものがあって、それらの説明も加えないと、釜の本態がわからない、という面倒なことがつき廻っている・また茶の湯釜は、茶碗、茶入等にくらべて研究がおくれていると思われる。あまりにもわからないことが多い。真形釜という釜が忽然として出現することも、説明が難しいのである。今日の研究において、茶の湯釜のはじまりは、どんなに早い時期に考えても、鎌倉時代を出ないのである。 喫茶のことも、すでに平安時代初期に行われ、茶園もあったと伝えられるが、これは伝のつく話である。栄西禅師が建久二年(一一九一)に中国の宋から帰朝して、筑前国博多に茶を植え、さらに『喫茶養生記』を著わして茶の効能を述べたのがはじまりで、さらに栂尾の明恵上人が、栄西の流れをくむ茶を栽培して、喫茶のことが行われたといわれている。事の真偽については論じないが、いずれにせよ鎌倉時代にはいって漸く喫茶のことがはじまったことは確かである。しかし、いかにして茶をのんだかについては明らかでない。 この喫茶のための湯をわかす釜が茶の湯釜であり、これが茶の湯の席に必須の道具になったのであるが、初期の釜がどんなものであったか、立証するものは史料的には弱い。芦屋釜の真形型あるいは天命釜の甑口形式の釜がその初期であったとする証拠の文献も金石文の銘文もない。釜の形式、鋳出文様、その他絵巻物に見る風俗画等によって様式的に推定する以外に方法がない。鎌倉時代から室町時代末期まで流行した芦屋釜、または天命釜にも、製作年時を明らかにした作品はあるが、まことにその数が少なくて一貫した説明には役にたたない。釜の製作者が他の梵鐘等を鋳造した記録・銘文を参考にしたとしても他の工芸品にくらべると史料的に不足の部分が大きく、また伝来のおもしの強い世界であるために、多少の疑問に思われることも訂正し難いということもある。したがって、ここに述べるのはほんの通説というべきものであり、自分の独自の見解はあまり出ていないことを述べておく。(以下略)
茶の湯釜の形態と名称 茶の湯釜の形態は、その歴史を見ても千差万別である。しかし、日本の伝統の工芸品は、まず、使用する道具である。柄杓を中に入れて湯をくみとるため、くみとりやすくするためにも、あまり突飛な形姿の釜は使用できないし、使用しにくくもあるので、釜の口の形についても、釜の深さについても相当の制限がある。また約束の炉や、風炉に調和した大きさと形姿に限定される。この限られた範囲のなかで、茶の湯釜の形式が生れる。 釜の形態については、その主なものは図解(102ページ以下)によるとして、その名称については茶の湯釜を理解する上において必須のものであるので、繁をいとわずに述べることにする。釜の名称は、主に次の三通りに分類することができる。 一、形姿または使用からくるもの 二、装飾文様または文字によるもの 三、伝来によるもの(所持者、所在地、個人の好み等) ただし、それ以外に、説明のつかないものが、ふるい文献に出てくることがある。 ところで、『茶具備討集』『津田宗及茶湯日記』『北野大茶湯之記』『茶器名物集』『茶道筌蹄』等には、 とくにさまざまな名称があかっている。なかでも『茶道筌蹄』が、「釜形の弁」として。多くの釜の名称と、由来や形姿等を述べ、その記載が最も詳細をきわめているので、これを中心にして、他の文献 も参照しながら、名称を分類してみたい(以下『筌蹄』と略す)。
形姿または使用によるもの 真形釜 芦屋釜の古い形式で、筆蹟の書体でいえば楷書にあたるもの。 鶴首 首の長い形から来る。 責紐 天命釜に多い・貴人に献茶のとき、封印をするために、口縁に近く鐶付がある。 のんどり 漁猟具の形からか。 箆被 箆被とは、矢の鏃が竹に接するところの名。釜の胴の下部が毛切のあたりにとび出した形が箆被に似るところからこの名があるか。 切合 切懸ともいう。風炉にかけてその口を切り合わせるところより来る。 広口 口の広きもの。『筌蹄』には「古作に多し道安好み、与二郎作にて輪口と姥口」とある。 皆口 釜の上部がすべて口という意か。『筌蹄』には「天猫よりあり」とある。 姥口 口作りが歯の抜けた老女の口に似たるゆえ、とある。 十王口 十王の冠に似て、輪口の上の少し開いたものか。甑口、輪口釜の一変形。 繰口 口の外側面が繰り取った形に似て、くびれて、外側に曲線をつくる。 丸釜 丸形。『筌蹄』に「利休形、与二郎作、輪口、唐金蓋、鬼面鐶付」とある。 筒釜 筒形。 尻張 一名、障泥釜。底が少しふくれる。 日の丸 自然と丸くなる。 四力 四角形の釜。 (ほか)
芦屋釡 ` 芦屋釜を製作した芦屋は、筑前国(福岡県)遠賀郡芦屋の地で、遠賀川の河口にあり、現在も金屋町の名がのこっている。芦屋釜といえば茶の湯釜では最もすぐれた釜を数多く出している日本の代表的な茶の湯釜である。しかし文献の上にもあまり取り上げられることなく、諸説がある。その一、二を紹介する。 江戸時代の文献でよく引用されるものは、が西村道冶の『釜師之由緒』で、その写本には、元禄十三年(一七〇〇)の奥書がある。これに、次の記載がある。(以下略)
天命釜 天命釜は天明釜とも、また天猫釜とも書く(天命が天明と変ったのは寛永十年〈一六三三〉といわれている。天命の地は下野国(栃木県)佐野にあり、西の芦屋釜に対する関東釜の製作地である。西村道冶の『釜師之由緒』には、(中略) 天命釜の起源については、芦屋釜と違って、伝説らしいがかなり詳しい歴史があり、その発祥の地は「河内国丹南郡狭山郷日置庄」と称される。藤原秀郷が天慶三年(九四〇)に東征するとき、五名の鋳工が、その命を奉じて随行し、佐野の付近の寺岡で、軍器の鋳造をはじめたのが、この地の鋳物業、さらには釜製作の前駆と伝えられる。 この地方は古墳時代より栄えた土地であり、那須郡から砂金が出たり、伊吹山の地名があって、採鉱冶金の盛んな土地であったことが推定される。(後略)
【図版解説より 一部紹介】ここでは省略していますが、寸法はcmで掲載 芦屋 野馬 五匹駒 寸法(略) 所蔵者 東京国立博物館 一面に三頭、他面に二頭の野馬が疾駆する様を、箆の強いタッチで描いている。その動態がまことにきびきびとしていて、作者の並々ならぬ腕前を示している。 野馬の図の芦屋釜はほかにもあるが、胴廻り全面にのびのびと表現したものは他に類例がない。また野のかなたには、柔らかい箆で遠山をえがいている。この図様は荒く見えるが、やはり大和絵風といってよいであろう。 釜は真形釜であるが、底が変って織部底になっている。しかもこの替底までもひびがはいり、上の繰口のところまで直径四センチぐらいの鋳掛けつぎがあるほど傷んでいるのは、よほど強い火にあったものであろう。 鐶付は肩よりやや下にあるが、その鬼面鐶付は特に大ぶりで、まことに堂々としている。室町時代も中期を下らぬ優作である。 替蓋は唐金、鉄の共蓋もあるが、同時代のものか疑問がある。
芦屋 春日野 名物 付属物 箱 桐白木 同蓋裏 貼紙 書付 西村道也筆 替蓋 二 伝来 千利休-万里小路家 寸法(略) 所蔵者 大阪藤田美術館 鹿をモティフにした芦屋釜はほかにもあるが、この釜が、その類のなかで時代もふるい。春日野をいく鹿の図様は、一面に牡鹿、他面に牝鹿を描いている。図版掲載の面は牝鹿で、右に疾走しながら後ろをふりむいて牡鹿を待っている風情である。他面には牡鹿が右向きに牝鹿の方に近づいていく気配を示す。箆の使い方は比較的に柔らかである。肩に縁をつけ、上は繰口につくり、鬼面の鐶付は肩よりやや下にあって、大ぶりで力強い。真形釜であるが、割合に背が高く、羽付が少しのこる。共蓋一枚、替蓋二枚あって、共蓋は鉄製、木瓜形の落入の形につくる。替蓋は唐金で、鞠透しのつまみをつける。 ふるくから千利休所持と伝えられ、利休愛用後、万里小路家蔵になるという。箱裏に、正徳三巳(一七一三)三月の由来書が貼られている。利休、物好きに破って、辻与次郎が鋳掛けをするという・室町時代初期の作か。
芦屋 濡烏 付属物 替蓋一 唐金 箱蓋裏 書付 織田有楽斎筆 伝来 益田鈍翁 寸法(略) この釜は、もとは大形の真形釜であったものが、尾垂れに変っている。鐶付は芦屋釜には珍しく遠山になる。肩と口辺に玉縁をつくる。蓋は共蓋、薄笠に折枝つまみで、替蓋は唐金製。胴廻りの図様は、両面に一羽ずつの大きく羽を広げた烏を描く。「濡れがらす」の名は、この図様から来たものといわれる。武野紹鴎の伝来と伝え、箱蓋裏に、織田有楽斎と伝える筆で「紹鴎ぬれからす 古芦屋 雪舟之絵」とかきつけられる。しかし書風から見ると近衛三藐院とも見られる。 釜としては、大胆な図柄を荒々しい箆使いで描いているところは芦屋古作に見られるが、鐶付が鬼面でなく遠山になっているのは、大胆な図様と調和しているとはいえない。また口作りは立ち上がりが割合に垂直に近く、繰口というより甑口に近いものになる。こうしたところから古芦屋とするには少し躊躇されるものがある。しかし益田鈍翁が長く愛玩した釜だけに名作である。
芦屋 松梅文霰 重文 寸法(略) 所蔵者 東京根津美術館 古芦屋真形釜。口造りは低い繰口で、ややいかつい肩の下に鬼面鐶付をつけ、腰に錣羽をつけた典型的な真形釜で、花の実つまみの唐金一文字蓋をそえている。胴周りは口際から羽先まで全体を霰地とし、四方に矩形の窓をつくり、正面・背面にそれぞれ「奉寄進 高野山 宝幢院 西坊公用」と「永正丁丑 施主芦屋本金屋大工宣秀」の銘を鋳出し、左右の窓には洲浜上に生える松樹と梅樹をあらわしている。宜秀は筑前芦屋の著名な釜師大江宣秀であり、また永正丁丑は永正十四年(一五一七)にあたる。 この釜は底を替えるが、羽を欠する古芦屋釜の中にあって羽より上を完全に保存している点で貴重である。 また紀年銘、作者銘を有しており、筑前芦屋釜の基本作例として大江宣秀の作釜を知る上にも、重要資料であるといえる。(中野政樹)
芦屋 末の松山 重文 付属物 外箱 書付 小堀遠州筆 寸法(略) 古芦屋真形釜で、口造りはくっきりとした繰口をし、ふっくらした胴には肩よりやや下がったところに力強い鬼面鐶付をつけている。 羽は落とし、底を替えている。胴周りには薄肉で古様な浜松図を鋳出しており、釜肌はなめらかな鯰肌で、光沢があり、文様表出は繊細で浜風に吹かれる松の美しさを見事にあらわしている。花の実つまみの唐金の盛蓋をそえている。外箱に「芦屋末松山之釜」と遠州によって釜銘が書かれているが、この「末松山」は古歌によるものであろうか。このような浜松図の釜は幸節静彦氏蔵の浜松図芦屋釜をはじめ古芦屋釜の中に数多くみられる。茶の湯釜にふさわしい名であり、この図様の釜は広く好尚を得たものと思われる。なかでも、この釜は形姿はふっくらとしており、文様も古様を示し、品格が高い。古芦屋釜の上位におくべき名釜といえよう。 (中野政樹)
天命 望月 名物(東山御物) 付属物 内箱 蓋裏 書付 替蓋 一 伝来 足利義政-後藤祐乗-三木権太夫-鴻池家 所載 大西浄雪筆写釜形正図巻 寸法(略) 「東山御物」と伝えるもので、これと双璧をなす「残月」とともに足利義政が愛用したと伝えている。ともに丸釜である。 この「望月」は天命釜特有の無文。そして、肌作りに特色があって弾き肌につくられている。鐶付は鬼面で肩のすぐ下につくが、大振りで力強い。蓋は唐金盛り上げ、花の実つまみ、替蓋一枚。小堀遠州時代に底の破れを繕ったとき、銀を鋳込んで底に銀山のような景色を新しく造ったのが、この釜の一つの特色である。 箱書は「望月、残月」と一緒にかいている。これによると、この命銘は義政であり、後藤祐乗が拝領し、「望月釜」は寛永年中に三木権太夫の所望によって後藤家より譲ったといわれ、さらに鴻池家に移ったという。しかし大西家の浄雪筆写の『釜形正図巻』(天保十四年)には、この釜につき「大坂鴻池又右エ門に有写、今本家今橋善右衛門所持。義政公御銘望月、残月両銘の内、地はだ引はだにて、つきはだに相見之候、底に三筋大われくひ違ひに銀いかけ有云々」とある。
東陽坊 与次郎 中興名物 付属物 箱 蓋裏 書付 千宗旦筆 極箱 書付 松平不昧筆 伝来 東陽坊長盛-千宗旦-冬木家-松平不昧 所載 雲州蔵帳 寸法 (略) 所蔵者 東京畠山記念館 辻与次郎は、京都三条釜座において利休好みの釜作をした天下一の名人で、古今を通じて釜作の第一人者として著名である。「東陽坊」の名は『茶道筌蹄』によれば、利休所持の天命の筒釜を真如堂東陽坊に贈ったのでその名があるという。 また利休門人の東陽坊長盛が所持したので、宗且が「東陽坊」と名づけ、また箱書して愛玩したという。与次郎が天命作を模作したものか、このあたりは不明。宗旦より冬木家をへて松平不昧侯の所蔵となり、その蔵帳に「中興名物与次郎冬木」とある。現在畠山記念館に所蔵される。また『名物釜所持名寄』に「東陽坊東陽坊卜文字あり」とある釜名が出ている。 この筒釜は与次郎特有の無文、鬼面鐶付であり、唐金の花の実つまみの蓋をつける。肌色にも雅味があり、鐶付の鬼面も芦屋釜と違って柔らかな感じになっている。
ほか
★状態★ 1982年の、とても古い本です。外観は通常保管によるスレ、背ヤケ、天小口に経年ヤケしみがある程度、扉、目次余白部などにも経年並ヤケしみなどありますが、カラー写真図版良好、目立った書込み・線引無し、問題なくお読みいただけると思います。(見落としはご容赦ください)
当商品は「書籍」です。くれぐれもお間違いの無いようお願い申し上げます。
<絶版・入手困難本>オークションにも滅多に出ない、貴重な一冊です。 古本・品にご理解のある方、この機会にぜひ宜しくお願いいたします。
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